人口規模と国家運営
『日本経済「余命3年」』(竹中平蔵、池田信夫、鈴木亘、土居丈郎・著、PHP研究所)の第4章(経済成長の鍵になる考え方)からメモ。
竹中:今後考えなければならない問題として、国家の人口規模があります。いま世界の先進工業国で人口1億人以上の国は、アメリカと日本しかありません。ドイツでも東西合わせて8000万人ぐらいです。そんな大きな国のシステムに、いまの日本の制度はふさわしくありません。
重要なことは、一人あたりGDPの高い国を挙げると、ほとんどが人口の少ない国ということです。2009年は1位がルクセンブルク、2位がノルウェー、3位がカタールで、大国ではアメリカがようやく9位に出てくる程度です。これはやはり、人口の多い国の運営の難しさを物語っています。その意味で地方分権は、意味があります。所得の再配分も国全体でやるよりは、道州制にして、各地域でやったほうがいいのです。
鈴木:たとえばスウェーデンやデンマークでは、人口規模が小さいので、政府への信頼感は非常に高いものがあります。高負担・高福祉で、束縛が強いことは確かですが、幸福度調査などをやるとランキングが高く、1位や2位も珍しくありません。日本の場合、大きすぎるので、払ったものが返ってくるかわからないし、政府を信用しにくい部分があるような気がします。
土居:スウェーデンの場合、人口が少ない分、1億2000万人もいる日本より利害対立が小さく、だからこそみんなが求めることにもコンセンサスが得やすい。それをやれば、ある程度の満足感をみんなが得られる。ところが日本は「大きな政府か、小さな政府か」という議論もあるように、「より多く政府が関与するかたちでやってほしい」という人と、「あまり関与してほしくない」という人が、かなりバラバラです。
池田:先進諸国を見ても、政府の規模はこれ以上大きくせず、なるべく縮小の方向に進もうとしています。企業など中間集団が弱くなってきたのだから、地域や企業にやらせるのではなく、政府が直接分配で個人を守るしかありません。そこから先は個人が自己責任でやっていく。そのような、ある種の個人主義の社会に変えていくしかないと思います。
・・・日本というのは大きくて豊かな国であるがために、何かを変えようとしても何も決まらない国になってしまったようだな。
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