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2010年10月24日 (日)

『財政危機と社会保障』

いまや財政再建は社会保障見直しと一体化した課題である。『財政危機と社会保障』(鈴木亘・著、講談社現代新書)からメモ。

国の一般歳出の半分以上を占め、今後も高齢化によってますます増加していく社会保障費は、国の財政を大きく左右する主役的存在です。一般会計予算における歳出総額92.3兆円のうち、27.3兆円と最大の支出項目は、「社会保障関係費」となっています。なぜ「社会保障関係費」が27.3兆円もの金額に上るかといえば、年金や医療保険、介護保険、雇用保険などの社会保障が、純粋に保険料で運営されているのではなく、多額の国庫負担、公費が投入されているからなのです。「社会保障関係費」の大部分は、医療や介護の利用料金をディスカウントするために使われています。こうした料金ディスカウントは中所得者であろうが、高所得者であろうが一律に行われており、公平性の観点から言っても到底支持できるものではありません。

日本の社会保障制度の特徴は、①国民皆保険、②職業別の制度分立、③賦課方式の財政方式、④過度の公費依存、補助金依存、⑤高コスト体質、⑥価格規制、参入規制による「護送船団方式」の統制経済、⑦強力な政治的圧力を行使する業界団体、⑧官僚の天下りの多さ、という八つに整理することが可能です。これらのほとんどは、高度成長時代を背景に形成されてきました。

「高度成長時代」に形作られた日本の社会保障制度は、人口構成が若く、高い経済成長率によって分配の「パイ」が広がってゆくことを前提としたシステムとなっているために、現在の低成長、少子高齢化社会には適応できず、あちこちで「制度疲労」を起こしています。

現在の低成長、人口高齢化社会では、もはや「身の丈に合わない贅沢」となっている多額の公費投入や補助金ですが、業界、官僚、政治家のみならず、高齢者や一般国民までもがそれを享受し、互いに利害が一致した「強固な既得権益構造」となっていることが、日本の社会保障改革を難しくさせている最大の原因です。

・・・既に鈴木先生は、年金の積立方式への移行や、基礎年金財源の目的消費税化などを提言してきたが、とにかく安易な公費投入こそが諸悪の根源という観点から、まずは公費投入の合理化に着手するべきだ、としている。

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