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2010年5月23日 (日)

『使える経済書100冊』

冗談半分でいうと、良い書評は、その本を読まないでも分かった気にさせる「長所」と、その本を読まないで済ましてしまう、という「短所」を併せ持っている・・・(苦笑)。ということで、『使える経済書100冊』(池田信夫・著、NHK出版生活人新書)は良い書評本ですね。これを読めば、グローバル資本主義や日本経済、経済学等々について知ったかぶりできるぞ。以下は「経済をテーマにしたアフォリズム」風のアトランダムなメモ。

市場メカニズムの最大の特長は、人々がほとんど情報をもたなくても動くということだ。人々は価格だけを見て取引し、需要の多いところに商品が動いていく。市場は資源というより知識の配分メカニズムなのである。

市場は合理主義で動くシステムではなく、今回の危機の原因は、市場がすべてを解決すると信じる「知識の傲慢」なのである。

新古典派経済学が歴史を捨象しているのは、それが物理学のような普遍的な学問だと信じているためだろうが、大きな間違いである。人々の行動は歴史や文化に強く影響され、過去の経緯から自由ではない。

産業革命の本質は技術的な発明ではなく、植民地から搾取した資本を株式会社によって蓄積する制度的なイノベーションだった。

資本主義は等価交換によって利潤(不等価交換)を生み出すシステムであり、この矛盾がさまざまな軋轢を生んできた。

等価交換の均衡状態になったとき資本主義は終わるので、それはつねに変化しながら国境を越えて広がり、中心部が周辺部を搾取し続けなければならない。資本主義は不平等で不安定なシステムだが、今のところわれわれはこれよりましなシステムを見出していない。

日本経済の行き詰まりは、官も民も利害の対立する厄介な問題を先送りして、解きやすい問題だけを解いてきた結果である。

株主価値を高めるという資本主義の原点に帰らないと、日本経済は長期的な衰退の道をたどるだろう。

生産性を上昇させる最大の要因は技術ではなく、シュンペーターの「新結合」という意味でのイノベーションなのだ。

成長戦略とは、環境とか福祉とか特定の産業を政府がターゲティングして補助金で育成することではない。規制改革によって(資本・労働市場を含む)市場を競争的にする競争戦略であり、そのための予算はほとんどいらないのだ。

政府の役割は、市場の効率を上げるための規制改革と、インセンティブのゆがみをなくす税制改革などの制度設計に限られる。

社会主義を意識して導入された「福祉国家」は、今でも先進国の政治を強く呪縛している。社会主義の負の遺産は今なお残っており、それを清算することは現代的課題である。

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