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2009年10月21日 (水)

グローバル化とシチリア

日経新聞「やさしい経済学」欄で、10月第二週から始まった「歴史から見る現代」の連載が今日で終了。執筆者は高山博・東京大学教授。中世シチリア王国研究の第一人者。「やさしい経済学」で歴史の話?・・・いやいやそれが我々には必要なんです。メモしませう。

(グローバル化の影響を受けて)歴史学の世界も今、大きな変容を遂げようとしている。近代国民国家を主たる準拠枠として発展してきた近代歴史学が急速に力を失い、国境を越えた動きを整合的に説明できる歴史が強く求められるようになってきたのである。

ヨーロッパでは、近代国民国家が成立する時期に、それまでの様々な歴史が、国の歴史へと整序されていった。19世紀のヨーロッパでは、国家成立史を中心に歴史学の急速な発展を見たのである。この時代には、時間の流れや集団の記憶としての歴史を含む様々な差異が、近代国家の枠組みで統合され、平準化されていった。つまり、それまで重層的に存在していた多様な法慣習・言語・文化の広がりが国境によって分断され、国ごとに固有の時間や歴史が再編されたのである。

グローバル化の進展は、そのような国ごとの歴史に大幅な修正を求めることになるだろう。今私たちが新しい歴史の枠組みを必要としているのは、私たち一人ひとりが自分の生きる世界を認識するために、従来とは違った歴史像を必要としているからなのである。必要とされているのは、複数の人間集団や国家、様々な文化圏を包含する世界史である。

多くの人たちは、歴史学を含む人文学などを役に立たない趣味の学問だと考えているようだが、人間や人間集団、社会を研究対象とする学問であり、人間が生きていく上で非常に有用な知や洞察力を与えてくれる。それらは、長期にわたって有効性が持続する知である。虚学どころか、きわめて実践的な学問だということができる。

私の主たる研究対象は、イスラーム文化、ビザンツ文化、ヨーロッパ文化が接触・交流し、アラビア語、ギリシャ語、ラテン語の史料が残る中世のシチリア島である。この中世シチリアは、現在の世界を見るための理想的な場所でもある。グローバル化が進展し統合が進む現在を理解するには、複数の国や文化圏を含む過去との比較が必要となる。中世シチリアのような過去の世界と比較することによって、私たちは現在の自分たちの位置や状況をより正確に認識できる。

・・・自分の年代(50歳絡み以上)ならば、「ゴッドファーザー」という映画の影響はかなり強いはずで、シチリアへの関心もまずはそこからになるのだが、加えて最近は、シチリア出身の神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世を知り、高山先生の研究成果にも触れて、シチリアという場所への興味を、改めてかきたてられつつある。できればシチリアに行く機会を作って、グローバル化の「これから」についても何かを感じてみたいもんだな。

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