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2009年9月 7日 (月)

「自己啓発本」と「哲学」

今の日本では、自己啓発本が哲学書の代用品ということらしい。今週の「週刊東洋経済」(9/12号)連載「知の技法・出世の作法」(佐藤優)からメモしてみる。

筆者の理解では、日本で流行している自己啓発セミナーや自己啓発本は、少し形を変えた教養の方法論である。
実は、哲学を系統的に学んだ人は自己啓発セミナーに通ったり、自己啓発本を読むことはない。それは、哲学自体が方法論を備えているからで、(中略)哲学的な基礎固めがしっかりなされた自己啓発セミナーに参加したり、自己啓発本を読むと、仕事の能力を向上させるうえで役に立つ。

優れた自己啓発本の著者として佐藤氏が挙げるのは勝間和代。具体例として引用されるのは、『断る力』(文春新書)の中で勝間が以下の様に述べる箇所。

(『史上最強の人生戦略マニュアル』という本の中で)私がもっとも影響を受けて、かつ、いつも忘れずに心に抱いている法則は「事実なんてない。あるのは認識だけだ」ということです。私たちが、自分が正しくて相手が間違っている、というのはあくまで、私たちの認識です。どちらが正しいか、間違っているかは問題ではないのです。問題は、互いの認識が異なっているということ、それによって上手な意思疎通ができていないということなのです。

そして、佐藤氏は「事実はない。あるのは認識だけだ」という言葉に着目して、これは新カント派に典型的な認識論だ、と指摘するのだが、似たような言い方で自分が思い出したのは、「真理はない。あるのは解釈だけだ」というニーチェの言葉。まあカントでもニーチェでも、哲学を少しでも齧っていれば、自己啓発本は不要だと言える。でも、哲学書を読めば仕事の能力が向上する、ってことはないだろうけど。(苦笑)

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