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2009年8月20日 (木)

「意志の勝利」(シアターN渋谷)

先週土曜日(8/15付)日経新聞の一面コラムを読んで「あれっ」と思った。映画「意志の勝利」が東京で公開中、と書かれていたからだ。丁度一年前にDVD(英語字幕)を購入して(時価4000円弱)観ちゃったよ、「意志の勝利」。だって何時やるか分かんないんだもん。最近では神戸、金沢で上映されたみたいだけど。一年後に東京で上映すると分かっていたらDVDは買わなかったのになあ。などとアホなことを思いつつ、とりあえず日本語字幕を見ようかと、昨夜、上映館である渋谷のシアターNに足を運んだ。

水曜日は当館のサービスデー、入場料1,000円ということもあるだろうけど、夜9時10分からのレイトショーでも100席程度の小さなハコは満席状態だった。

で、基本的には良く出来た記録映画だなという感想は変わらない。しかしながら、暗いハコの中で人々の拍手や歓呼の声に包まれながら画面を見ていると、何か自分もちょっと右手を真っ直ぐ上げたくなってくるんだな、これが(苦笑)。明るい部屋の中でDVDを見るのとは、気持ちに働きかける力が違うなと。なるほどこれぞ「プロパガンダ」映画というのか、当時のドイツ人に訴えかけた力をいくばくかは理解できたような。まさに歴史的な熱気と高揚を見事にパッケージした作品であると、強く感じた。

やはり、日本語字幕で演説内容の意味がすぐ分かるのは良い。ヒトラーはじめナチ党幹部面々のどのような言葉に、拍手と歓声、ジークハイルの合唱など人々が反応しているかが了解できる。

当時のヒトラーはまさしく救世主として、ドイツの人々に受け入れられていたことが伝わってくる。これを今の時点から、邪悪なファシズムに人々が陶酔していたと見るのは、おそらく適当ではない。第一次大戦の敗戦国であるドイツを惨めな状態から立ち直らせた実績が、ヒトラーにはあった。いわば国家的なコンプレックスを解消してくれたリーダーに、人々は熱狂した。

そういうリーダーが求められるのは、今の日本でも変わらない。もちろん今の与野党党首が、国家的コンプレックスを解消してくれるリーダーになれるとは思わない。例えば、アメリカと対等の外交を実行してみせるリーダーが現れれば、人々は圧倒的に支持するだろう。その場合、過剰な期待が社会の進む方向を誤らせる危うさも当然のように孕むだろうから、同時に日本の民主主義の成熟度があらためて試されるだろうとは思うが。

それにしてもなぜ今「意志の勝利」なのか。かつて世界大恐慌の10年後に世界大戦が勃発した。昨今の金融・経済危機の中で、グローバル秩序としての「帝国」から「新・帝国主義」への変化が語られたりすることも背景にあるかも知れない。1930年代を振り返ることで、そこから何かしら教訓を得ようということだろうか。

しかしながら世の中の動きは速い。もうすぐ「リーマン・ショック」から一年になろうとしている。あらためていろいろなことが言われるのだろうが、あれだけ大騒ぎした金融危機も既に過去の出来事になりつつある気配がする。すべては移ろいゆく。そして肝心なことは放ったらかしのままになっている。ような気がしちゃうんだよね、何か。

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