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2009年6月12日 (金)

ダザイとハルキ

ブームの様相を呈する村上春樹の新作「1Q84」。その「波及効果」も広がっている。

本日付日経新聞(消費面)によれば、小説の冒頭で主人公が購入するチェコの作曲家、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」CDに注文が殺到。題名から連想されるジョージ・オーウェル「1984年」はもちろん、作中引用されたチェーホフ「サハリン島」も販売急増。「海辺のカフカ」など過去の村上作品も快調に売れ行きを伸ばしているとのこと。

村上春樹の人気が高いのは分かるにしても、書物の売れ方としては何かちょっと異常かなあ、と感じる。

同じ日経新聞(東京版)には、三鷹市が「生誕100年」太宰治のブームに沸いている、との記事。太宰は30歳過ぎから死ぬまで三鷹で過ごした。そのゆかりの地には、入水自殺した玉川上水や墓があるほか、昨年3月には「太宰治文学サロン」も開設されて多くの訪問者を集めている。太宰は作品だけでなく、作家の人間、生き方そのものに魅かれる熱烈なファンが多い。生誕100年を記念して、市内の各所では講演、朗読会、演劇などイベントの予定が目白押しとなっている。

もうすぐ6月19日の「桜桃忌」。しかし太宰治・・・いかにも古いな、と思う。いまの若い人は太宰をどう読むのか、少し不思議な気がする。

しかししかし、さはさりながら、文学不毛の時代の中で、スタイルも題材もまるで違う二人の作家が衰えない人気を保っているのは、それなりの理由があるのだろうなとは思う(・・・だって今は読まないけど、昔は僕もいちおう読んでたしね)。

結局、文学(小説はじめ「作品」としてもたらされた、言語による表現活動)に対して人が基本的に求めるものは、センチメンタリズムなんだろうな。二人の作家は素晴らしく上等なセンチメンタリズムを読者に提供する。村上春樹のとてもスタイリッシュなセンチメンタリズム。太宰治は(今となってはやや昔風の)青春文学の代名詞でもあった訳だから、これはもうセンチメンタリズムの王道を行ってたのは間違いない。

センチメンタリズムとは単なる感傷ではない。「この世は訳の分からないことばかりだけど、それでも僕は生きていく」という決意なのである。

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