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2009年4月 6日 (月)

ニューケインジアンとは

世界各国の財政出動に支持基盤を与えているのは、「ニューケインジアン」と呼ばれる経済学派。本日付日経新聞「経済教室」(土居丈郎・慶大教授の執筆)からメモする。

マクロ経済学で主流だった「伝統的ケインジアン」の需要管理政策は、石油ショックを経てその有効性に関して疑義が呈され、80年代には合理的期待学派を核とする「新しい古典派」が席巻するようになる。

新しい古典派が説くマクロ政策の合意は、合理的な個人が政策の効果を合理的に予想するので、しばしば政策は効果がないとするものだ。

ニューケインジアンは、合理的に行動する個人が合理的に期待を形成しながらも、賃金調整や物価調整の硬直性(調整に時間がかかる性質)や情報の非対称性(供給側が持つ情報と需要側の情報が異なる)や経済主体間で協調が失敗することなど、市場の失敗が起きる可能性を重視し、そこで起きている非効率性を分析したり、それを是正したりするマクロ政策のあり方を分析する。市場の失敗を重視する点で、新しい古典派のマクロ経済学とは異なる。

とはいえ、ニューケインジアンと新しい古典派は、理論的背景がほぼ同じで、認識を共有する点がある。①経済主体は将来を見据えて行動するので、政策効果は短期だけでなく長期に及ぶものまで考慮して議論すべきこと②理論に基づいた定量的分析が重要であること③期待の役割が重要であること④実物経済の撹乱要因が経済変動にとって重要であること⑤金融政策は、特に物価調整において、有効な政策手段であること。

ニューケインジアンは、市場の失敗が深刻になると不況が起きるとみて、不況克服に向け供給側に講じるマクロ政策の有効性をも強く訴える。

財政政策の有効性はニューケインジアンの分析でも限定的に示されているが、市場の失敗などにかかわる部分に限られた「脇役」にすぎない。もともと彼らの政策分析対象の大半は金融政策である。

・・・財政の役割は、市場の失敗の後始末に限られる。今回の失敗は度外れて大きいので、後始末も大変だけど。

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