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2009年3月22日 (日)

「貧困」を生む社会

湯浅誠と堤未果の対談を中心にまとめられた『正社員が没落する』(角川ONEテーマ21新書)は、それぞれの著作である『反貧困』『ルポ 貧困大国アメリカ』のどちらも読んでないワタシにとっては、お得感のある一冊(苦笑)。以下に両者の発言からメモ。

湯浅:日本のすべり台社会はセーフティネットが崩壊しているので、いちど転落した人は、ホームレスのラインまで堕ちてしまう。
ヨーロッパの社会保障は公的セーフティネットがしっかりしている。アメリカの公的セーフティネットは日本以上にひどいですが、民間のセーフティネット(NPO、教会)がそれなりに頑張っている。
欧米では、失業してもセーフティネットがあるから、そのまま野宿に直結するなんてことはないんですね。でも日本では、失業=ホームレスになる。

:国が社会保障を削り、企業が労働者を人間ではなく低コスト労働力というモノ扱いして切り捨てる。それは国民を捨てていることと同じ。企業の生産性や国力を損なう大変なロスだということに、全ての人々が気づく必要がありますね。

湯浅:40代、50代になって賃金のピークに達する賃金体系は、子供が十代から十代後半にさしかかると家計負担がピークになる。日本の支出というのは、山型なんですね。それに対応してきたのが年功型賃金だと思うんです。年功型のカーブは下がってきている。しかも社会保険料は上がり続けていますから、支出の山型カーブはきつくなってきている。この異常な高コスト体質を、もうちょっと下げていかないと、「正規、非正規、どっちにしたって暮らせないよね」ということです。

:正規も非正規もバラバラに見てる場所をコストの高い部分に向けたら、支出の山型を減らすという同じ目標ができますね。

湯浅:「貧困」は、公的ネット、家族のネットと地域のネットの問題を考えるきっかけになります。また、日本の極端に低い政府の教育費負担の問題や、異様に高い公共事業費。この分配構造を見直す必要まで考えなければなりません。

:政治家には、何を芯にして国を作るのかというビジョンをまず示してほしい。日本という国が世界に向かって誇れるような価値観が、真ん中に一本通っているかどうか。それを見極めるために必要なものは、今起きていることについての正確な情報と、それを中立的な視点から報道するメディア、そして何よりも連携です。

・・・「人間に投資しない国は滅びる。人間への投資が社会の活力につながる」という見解で二人の認識は一致。また、アメリカの貧困問題について堤は、「最重要課題は医療改革」と指摘。「民営化/市場原理」の波に呑まれて日米両国の生み出した「貧困」は、それぞれの社会の構造問題の在りかを、グロテスクなまでに露にして解決を迫っているように見える。

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