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2009年3月28日 (土)

リスクヘッジという幻想

やっぱり、金融工学によるリスクヘッジは疑わしい。少なくとも過信は禁物。『リスクをヘッジできない本当の理由』(土方薫・著、日経プレミアシリーズ新書)からメモ。

金融工学では、価格変動も(サイコロの動きと)同じような規則性をもっていると考えている。すなわち、市場価格の変化率とその発生頻度をプロットすると、それが正規分布になるとしているのだ。

価格モデルはあくまでも理論上のモデルであるため、現実をそのまま反映するわけではない。つまり、価格モデルには限界がある。ひとつは、価格モデルによるシミュレーションによってできあがった価格分布が正規分布に従うと仮定していることである。

(実際の市場は)全体的には、それとなく正規分布に近似しているのだが、価格下落方向に正規分布から大きく外れた値が出現する。理論値には現れないような異常値が、もっとも用心しなければならない価格下落方向に多く発生している。しかし現実的には、私たちが日々経験するほとんどの価格変動が、正規分布の範囲内に収まってしまうため、市場が平常である限りにおいては、金融工学者が描いたとおりに価格は変動してしまう。しかし、市場が常に平常であるはずがない。

価格モデルに対する二つ目の問題は、過去のデータに基づき将来の価格のブレの大きさ(ボラティリティ)を見積もっていることである。過去の価格の値動きから、将来の値動きのブレを予想するのだ。

本当に、過去から将来が覗けるだろうか?
どう工夫しようが、熱しやすく冷めやすい非合理的な市場と、心理的バイアスに蹂躙されたトレーダーの行動と、そしてこれからの新たに発生する未体験の値動きを映し出すことなど、できやしないのである。

これまで市場から撤退を余儀なくされたトレーダーは口をそろえて、「予想外のことが起こった」といってきた。では、この予想外のこととは何なのか。それは「不確実性」のことだ。つまり、私たちが市場で相手にしているのは、リスクではなく不確実性であるということだ。リスクは将来の出来事に対してあらかじめ確率分布が与えられており、リスクはそのなかで収束する。一方、不確実性は確率分布の情報がないため、市場は常に不安定で、価格がどう動くかは約束されていない。もし市場にリスクしか存在しないのであれば、市場が崩壊することなどないだろう。

どうあがいても、私たちは市場のことを何もわかっていないようなものだし、市場のことを知る術もたいして持っていない。結局のところ、私たちは何ひとつわからないまま市場経済のなかに放り込まれている。

・・・結局、将来のことは分からない。ひとたび不確実性と異常値の支配する局面に巻き込まれてしまったら、いずれ物事は平常に戻ると腹を括るしかないんだろうな。

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