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2009年2月18日 (水)

「過剰貯蓄」が犯人?

本日付日経新聞「経済教室」(世界的不均衡どう是正・中)の執筆者は原田泰・大和総研チーフエコノミスト。米国のバブルの原因は中国の過剰貯蓄、との説を検証しているので、以下にメモ。

米国の巨額の経常収支赤字を、中国、中東産油国、ロシア、そして日本の黒字が埋めているのは事実である。だからといって、中国の経常収支黒字が、米国の実質金利を低下させたというのは、本当だろうか。

経常収支が赤字であるということは、資本が流入しているという面で長期金利を下げる要因になると同時に、高金利になる要因ともなる。資本が流入しすぎていれば借金が多すぎるということなので、過大な債務を負った企業はより高い金利でしか資金を調達できないのと同じ理由で、長期金利を引き上げないと海外から資本を取り入れることができないからだ。

もし、本当に、中国を中心とした途上国が米国に貯蓄を供給し、その結果、米国の実質金利が低くなっていたのだとしたら、米国にとって好ましいことである。
単純な成長
モデルで考えてみれば、海外からの貯蓄の増加によって、一人当たりの資本蓄積を進め、しばらくの間、高い成長率を享受できる。当然、賃金も上がるから、住宅を買う力も強まる。住宅の供給に制約があって、かつ住宅が上級財なら、住宅価格が上昇するのは当然のことである。これは実質金利の低下がもたらす均衡であって、バブルでもなんでもない。

住宅バブルがはじけたのは、中国の貯蓄が減少したからではない。米国の住宅価格が、中国の過剰貯蓄でも支えきれないほど上がりすぎたことが崩壊の主因である。中国の過剰貯蓄が原因なら、米国の住宅バブルが破裂したときには、中国の消費が急拡大していなければならないが、そんなことは起きていない。

・・・経済学的な現実認識においては、ある一つの出来事の原因を一つに特定するということは相当困難だという印象がある。結局すべては「兼ね合い」だということになるのだろう。過剰貯蓄、過剰消費、どちらか一方だけが問題だということでもなく、結局はそれぞれの国がそれぞれの課題に取り組むほかないようだ。

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