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2008年12月14日 (日)

グローバル経済と中小企業

エコノミストの水野和夫の新刊『金融大崩壊 「アメリカ金融帝国」の終焉』(NHK出版生活人新書)を読んだら、書名のイメージとは違うけど、中小企業について述べた部分が印象に残ったのでメモ(第6章 日本経済の生き残る道はどこか)。

これから日本が本当に成熟した形で輸出株式会社を続けようと思うなら、これまでの経済の常識は捨てて、知恵を絞る必要があります。
世界金融危機によって、日本の輸出数量は08年6月にマイナスに転じ、8、9月もマイナスになっているのは、輸出先の好景気が、金融資産バブルに依存した消費によるものだったからです。今度は実体経済の成長に基づいて、1人当たり実質GDP、すなわち生活水準が上がっていく新興国の中産階級を相手に据えるべきでしょう。新興国に暮らす人々の1人当たりGDPが1000ドルから1万ドルに成長することは、バブルではありません。そうした実質成長に基づいた地域と一体化すること。それが真のグローバル化です。世界はこれからが本当のグローバル時代、グローバル競争に入っていきます。

(国内の経済)格差あるいは二極化は、グローバル経済にリンクしているか、それとも遮断されているかの違いから現れます。
企業規模の大小を問わず、海外とどうやってつながっていくかが鍵となるのです。新興国の人たちが中産階級になっていくプロセスで、自分たちがどう手伝えるのかを考えない限り、経済格差はなくならないのです。

グローバル時代には、内に閉じこもっていることは停滞を意味します。中小企業が明日から単独で海外進出というのも非現実的です。そこで国の役割が必要となってきます。
中小企業向け金融を拡充し、海外での事業ノウハウを伝授する体制も必要でしょう。「中小企業海外進出庁」といった省庁をつくるのもアイデアの一つです。いずれにせよ、中小企業の海外進出を全面的に支援するシステムをつくることが重要です。

・・・冷戦終了後、金融資本主導でバブルを伴いつつ進行した「派手な」グローバル化はひとまず限界に達し、今後は新興国の人々が生活水準を切り上げていく「地道な」グローバル化が進んでいく。アメリカのバブル的消費を受けて、日本の大企業が輸出を拡大させた時代がいったん終わり、今後は新興国の中産階級をターゲットに、日本の中小企業が事業を海外にリンクさせることが求められる。そのことを踏まえたうえで企業は行動し、政策も実行されなければならない、ということ。耳を傾けるべき提言だと思う。

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