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2008年11月17日 (月)

基軸通貨国の特権(の乱用)

今週の「日経ヴェリタス」(11/16付)の「危機原論」(末村篤・特別編集委員)からメモ。

80年代以降の世界の経済史は、米国が債権国から債務国に転落してもなお世界経済の中心であり続けるために、基軸通貨国の特権を最大限活用した歴史といっても過言ではない。

米国は巨額の経常赤字で垂れ流したドルを、国債などへの債券投資の形で呼び戻し、直接投資や株式投資でBRICsなどへの海外投資を活発化した。

経常赤字国が無尽蔵に、しかも低金利で資金調達できたのは、アングロサクソン型金融文化をデファクト・スタンダードとして世界に広める国家戦略の下、外国に貿易と資本の自由化を迫って世界のモノ(生産力)とカネ(貯蓄)を利用できる環境を整え、デットとエクイティの収益格差を享受したからだろう。

基軸通貨国が最大の経常赤字国で最大の債務国でもあるという想定外の事態は、高成長と企業・金融部門の高収益で覆い隠されていたが、株式から住宅に引き継がれたバブルの崩壊で矛盾を露呈した。投資銀行のビジネスモデルと同時に、米国中心のモノとカネの世界循環(帝国循環)も終焉を迎える。

基軸通貨の交代はまだ先だとしても、米国が基軸通貨国の特権の乱用、「痛みのない赤字垂れ流し」をこれ以上続けられないとすれば、世界の経済循環は変わらざるを得ない。米国の経済運営はもちろんのこと、その裏側の貿易(対米輸出)と金融(対米投資)で帝国循環を支えたパートナー、日本と中国がこの変化にどう対応するのかが大問題になる。

・・・ドルが基軸通貨であることとアメリカが「金融帝国」であることは固く結びついている。時たま、日本も金融立国を目指そう、とかいう話が出てくるけど、円を基軸通貨にする気があるとは思えないのに、金融立国とか唱えてみても実効性は無いような気がする。それはそれとして、ドルに代わる基軸通貨はまだ見えてこないにしても、ドルの地位低下は徐々に進んでいくのだとしたら、アメリカにモノを売って受け取ったカネを、再びアメリカに投資するというアクションについては今後、中国にメインでやってもらう方が日本にとっても有難いんじゃないのかな~。

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