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2008年10月24日 (金)

資本主義純粋化の失敗

本日付日経新聞・経済教室「自由放任は第二の終焉」(岩井克人・東京大学教授)からメモ。

新古典派によれば、資本主義は純粋になればなるほど理想状態に近づく。非効率性や不安定性があるのは、市場の「見えざる手」を阻害する「不純物」があるからである。不純物さえ取り除けば、後は自由放任主義に徹すればよい。

これに対してケインズが示したのは、資本主義には理想状態などないということであった。効率性と安定性とは二律背反の関係にあり、資本主義が一定の安定性を保ってきたのは、労働慣行や資本規制など市場を阻害する数多くの「不純物」があったからにすぎない。確かに資本主義を純粋化すると、効率性は高まる。だがそれはマクロ的な不安定性を増幅し、恐慌やハイパーインフレを絶えず引き起こしてしまうという。資本主義の存続のためにも、自由放任主義というイデオロギーから資本主義を解放し、何らかの安定化政策を導入する必要があるというわけである。

ケインズの革命は、長続きしなかった。新古典派経済学の反革命が始まり、80年代には再び学界を制覇したからだ。それと軌を一にして、英米を中心に経済政策が自由放任主義に大きく転換し、効率化を旗印に規制緩和が進められた。あらゆるリスクを証券化していく金融革命を先頭に、市場は世界全体を覆い尽くすことになった。「グローバル資本主義」の成立である。

グローバル資本主義――それは、資本主義の純粋化は効率化も安定化も実現するという新古典派経済学の壮大なる実験でもあった。そして2008年米国のサブプライム問題に端を発した金融危機は、その実験の破綻を告げた。現実が立証したのは、資本主義の純粋化は効率性を増す代償に不安定性を増幅させるという「不都合な真実」であった。

・・・論述はさらに「自己循環論法」、「投機」の純粋形態である「貨幣」の本質的な不安定性、など岩井ファンにはお馴染みの概念(出た出たって感じ)を使いながら進められていくのだが、それはさておき、新古典派経済学の実験が破綻したのだとしても、その後に来るものは何かなと。いったんは貨幣の不安定性を抑える方向に行くのは間違いないんだろうけど。

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