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2008年10月20日 (月)

一つの時代の終わり

今週の「日経ヴェリタス」(10/19付)の「危機原論」(末村篤・特別編集委員)は、今起きていることは一つの時代の終わりを意味する、と説く。以下にメモ。

まず21世紀初頭に姿を現した、高成長・低インフレ・低金利という「ゴルディロックス経済」の終焉である。
ゴルディロックスは先進国の10億人に新興国(BRICs)の30億人が加わるグローバル化の過渡期の現象だった。米国の住宅バブルの資産効果による消費主導の成長と、BRICsの輸出産業中心の投資主導の成長が世界経済を牽引。低賃金労働力の市場参加が先進国の賃金も抑制して歴史的な価格(コスト)革命が起きた。

ゴルディロックス経済は1980年代以降ほぼ30年続いた先進国経済のトレンドの最終段階で咲いたあだ花でもあった。「80年代パラダイム」とは、米大統領と英首相の名前を冠して「レーガン・サッチャー革命」と呼ばれる新保守主義・新資本主義革命である。
旧ソ連の崩壊で拮抗力を失った新自由主義イデオロギーは世界を覆い尽くし、大恐慌の経験から生まれた修正資本主義(福祉国家)の解体、労働者の既得権剥奪と中産階級(ホワイトカラー)の没落が進行した。

この時代を特徴づけたのが金融文化革命で、実体経済の僕だった金融は経済の主役に躍り出る。金融産業は高収益を生む成長産業となり、金融立国として米英を空前の繁栄に導いたが、金融の暴走が招いた世界危機で米英型金融システムは80年代パラダイムとともに寿命を迎えた。

先進国にBRICsを加えた40億人の世界経済は、潜在的な有効需要(モノ需要)が本格的に顕在化することで、80年代以来のディスインフレ経済からインフレ経済に転換する。
物価の上昇だけではない。40億人の経済が直面する深刻な環境、資源、エネルギー、食料の制約を克服するために、膨大な研究開発や設備投資が必要となり、余剰資金が実需に吸収されて、金融主導経済は実物主導経済へシフトする。
金融肥大経済が爛熟し自壊を起こしたパニックは、金融に振れすぎた振り子が実物に回帰する正常化のプロセスの摩擦であり、生みの苦しみでもある。

・・・冷戦後の、あまねく市場化されていく世界を、投資資金が駆け巡るという時代は、大きな曲がり角を迎えたという思いを強くする。

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