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2008年9月 1日 (月)

流動性と自己循環論法

今週の「週刊エコノミスト」(9/9号)の特集は「危機の経済学」。岩井克人・東京大学経済学部教授の評論からメモ。

貨幣というのは、効率性と同時に、必然的に経済に不安定性を生み出す。なぜならば、人が貨幣を手に入れる時、誰かほかの人が受け取ってくれることを予想して手に入れるのである。すなわち、貨幣を持つことは、純粋な「投機」活動なのである。投機はもちろん不安定性をもたらす。貨幣は経済に効率性をもたらすが、その裏側で不安定性の可能性を生み出し、この2つを切り離すことはできない。

こうした意味で、サブプライム問題には貨幣の問題のエッセンスが入っている。1つはサブプライム自身が持っている不安定性だ。貨幣でも他の金融商品でも、流動性とは本質的に自己循環論法によって支えられている。多くの人が流動性があると思っている限り、いつでもどこでも簡単に手放せる流動性を持つのである。それは同時に、もし多くの人が流動性がないと思い始めたら、その流動性が消えてしまうことも意味する。そして、サブプライムローンが安全ではないことが分かり始めたとたん、関連する金融商品の流動性は一気に低下して信用収縮が生じ、世界の金融市場がパニックに陥ってしまった。

しかも、それが米国の金融市場を中心に起きたことで、さらに次の流動性の問題に発展した。ドルに対する信認が揺らぎ始めたことだ。これが2つ目の問題だ。基軸通貨としてのドルを支えているのは、もちろん貨幣をめぐる自己循環論法であり、世界の人々が基軸通貨であると思っているから、基軸通貨の地位を保っているだけにすぎない。人々のドルに対する信認が失われると、ドルの基軸通貨としての地位は低下する。

貨幣の本質的な不安定性、自己循環論法・・・。岩井節、全開!

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