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2008年9月29日 (月)

「格差」と「日本的雇用慣行」

先日の池田信夫ブログに、格差の原因は「長期不況と、若者を犠牲にして中高年の雇用を守る日本的雇用慣行」であると書かれていた。後者の要因に関連して、『この国の経済常識はウソばかり』(トラスト立木・著、洋泉社新書y)の「第4講」からメモする。

高度成長期以来、大企業の従業員や公務員の場合、中年社員が新入社員の2~3倍程度の給与をもらう日本独特の年功序列型賃金が定着しました。この賃金制度は高度成長、人口ボーナスと言った好条件がそろっていればよいのですが、低成長で人口減の時代になり、社員も高齢化が進むと、中高年社員が給与原資の大半を独占してしまい、企業は儲からなくなるという状況に陥りました。

定年に近い先輩社員から我先に給与をもっていくことになりますから、若者の給与を上げる原資も、新入社員を雇う余裕もなくなってしまいます。つまり、年長者優先の賃金制度があまりにも硬直的になり、合理的に賃金を配分する調整機能が働かなくなってしまったのです。バブル経済がはじけた90年代以降、大半の企業は年功序列により麻痺した賃金の調整機能には手を付けず、新規参入(若者)の市場を「雇用の調整弁」としてフルに活用し、これを目いっぱい活用する方向に動きだしたのです。

「年功序列型の正社員の賃金」を調整するには、企業も大変な時間と労力を要しますので、何もいわない若者という新規参入者の賃金を「激安」にすることで、トータルの労務費を圧縮する道を選んだといえます。

その結果、企業は雇用において「派遣社員制度」に目をつけました。労働者派遣制度の自由化は、過剰な設備、雇用、借金で四苦八苦していた企業側からの要請で生まれたのです。その後、日雇い派遣や二重派遣など派遣社員がどんどん酷使される状況に進んでいきました。

こうして若者が、使い捨ての労働力として必要以上に「商品化」されてしまったのです。若者だけが「調整弁」として、賃金を下げるための「調整力」を「発揮」させられている状況はあまりにも不公平なのです。

この本の「第3講」では、経済成長が望めない状況の中で、政策の合理的な優先順位をつけることが最重要課題になっているにも係らず、マスコミや政治家の関心領域は、既得権を持つ年長者の利害が絡む問題に偏っているため、若者の貧困や結婚難などの「新しい問題」に対応できていないことが指摘されている。

指導者層の世代交代、または発想の転換が無いと、日本は滅びるよ、ホントに。

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コメント

 2001年に出版された「仕事のなかの曖昧な不安」で、玄田 有史さんはいち早くそのことを指摘されていました。僕の賃金も20万円ぐらい。契約社員はボーナスもありません。

中高年のせい、時代のせいにしていても仕方ありません。

であれば、いくらマネーゲームは良くないと言われようとも、リスクを冒してでも収入を増やし、経済的基盤を作りたいと思うのです。

投稿: はっしー | 2008年9月30日 (火) 22時27分

自分の努力で経済的基盤を作ろうとする、その意気や良し!
それはそれとして、玄田先生が若年者雇用の構造的問題を指摘した後も、強力な対策が打たれないまま時が過ぎてしまった感がある。結局、声が大きいか、声をたくさん集めるかでしか世の中は動かないのか。

投稿: donald | 2008年10月 1日 (水) 21時31分

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