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2008年8月30日 (土)

『ファシズム』読書

「意志の勝利」DVDを観て、ソンタグの昔の評論を読んで、気分は軽く「ファシズム」モード(・・・思えば去年の夏は軽く「東京裁判」モードだったっけ)。続いて岩波現代文庫の『ファシズム』(山口定・著、2006年)を読んでメモする。

まず、世界史におけるファシズムの位置付けについて。

第一次大戦後に樹立された米英仏に代表される先進的帝国主義諸国中心の平和主義、国際協調主義を建前とする世界秩序(ベルサイユ=ワシントン体制)に対する独伊日などの後発的帝国主義諸国の実力による挑戦。

ファシズム体制の特質とは。

①一党独裁とそれを可能にするための「強制的同質化」と呼ばれる画一的で全面的な組織化の強行、②自由主義的諸権利の全面的抑圧と政治警察を中核とするテロの全面的制度化、③「新しい秩序」と「新しい人間」の形成に向けての大衆の「動員」、④軍、官僚機構、財界、教会などの既成の支配層の反動化した部分(権威主義的反動)と、広義の中間的諸階層を基盤とした急進的大衆運動の指導者層やそれに代替する「革新将校」や「革新官僚」(擬似革命)との政治的同盟。

④の基準から、「権威主義的反動」と「擬似革命」、どちらが主導するかでファシズム体制は二つのタイプに分けられる。イタリア、ドイツは「擬似革命」(民衆の願望を悪用して観念的な急進主義を扇動しようとする)主導型、日本は「権威主義的反動」(エリートによる上意下達の体制を強権的に維持し回復しようとする)主導型である。

ファシズムは世界史の一定の段階における国際的な連関のなかでの産物であって、今日からあの時代をふりかえってみる時には、明らかに、イタリア・ファシズムが、国際的ファシズムの突破口であり、ドイツ・ナチズムはその極限形態であり、日本ファシズムは軍国主義的反動が二つの国際的先例の存在ゆえにファシズム形態にまでつき進みえた事例であった。

・・・第一次大戦、ロシア革命、世界恐慌等の世界史的状況の中で成立したファシズムを考えることは、あらゆるイデオロギーについて考えることだと、この本は教えてくれる。著者は歴史概念としてのファシズムの意義を強調する一方、同時代分析における「ファシズム」概念の使用(レッテル貼り)には慎重でありたいとする。確かに「禁煙ファシズム」くらいならまだ半分シャレとして受け止められるけど、マジで現代社会は「何とかファシズム」だと言い募る向きには鼻白むものを感じるな。

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