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2008年6月26日 (木)

「不確実性の分析」(経済教室)

本日付日経新聞「経済教室」(執筆者は奥村洋彦・学習院大学教授)は、「不確実性」の問題を取り上げている。以下にメモ。

今日見られる金融不安の高まりや金融危機は今回特有ではない。むしろ、市場経済が常時生み出す事象といってもよい。

金融の不安定性と不確実性とは不即不離の関係にあるが、これらを重視するモデルの原型は、1920年代―30年代の、F・ナイトとJ・M・ケインズに見られる。両者とも、①現在の経済行動は人々が将来をどう予想するかにかかっている②将来の「場」は現在や過去の「場」と異なるので、何が起きるかを客観確率で予想できず主観確率に頼らざるを得ない③人々の情報や計算能力は完全なものではありえない、などを理由に、経済システムには不確実性が内在していると考えた。
(客観確率:確率分布の情報あり、主観確率:確率分布の情報がないか不完全)

ナイトは、将来何が起きるか客観確率のある場合をリスクとし、ない場合を不確実性と峻別、一方ケインズは、金融が実物経済に影響を与えるメカニズムや金融危機が内生的に発生するメカニズムを明らかにした。

第二次大戦後、米国でH・ミンスキーが、ケインズモデルを拡張・深化させ、発達した金融市場とその下で不安定な動きをする実物経済を関連づけるモデルを構築した。これが「金融不安定性」モデルである。(市場経済自体に金融不安定性が内在している、つまり安定や均衡が達成されたとしてもそれは一時的で、人々の行動は次第に中から変化し再び不安定になる、ととらえるモデル)

(バブルや金融危機の発生を完全に防ぐことはできないにしても、政策運営や企業活動をより有効なものにするためには、)経済の現場、つまりは、生身の人間行動から出発し、不確実性下の人々の意思決定がどのようなメカニズムで行われるか、特に、人々が主観確率で将来をどう予想するかという期待形成プロセスの観察・分析とそれを取り入れた経済理論の構築が欠かせないということだ。

・・・金融の肥大化と共に経済の不確実性も拡大していく状況の中で、経済合理的に行動する人間を前提としていた従来の経済学も変貌を余儀なくされていくのかどうか。

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