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2008年3月 2日 (日)

ウイルスは遺伝子の断片

雑誌「サピオ」(3/12号)が「新型感染症」について特集。ベストセラー『生物と無生物のあいだ』の著者である福岡伸一・青山学院大学教授の書いたレポートからメモ。

細菌などの微生物は言うまでもなく生物だが、ウイルスが何物であるかについては、生物学者のなかでも「生物か、無生物か」で定義が分かれている。

生物とは「自己複製するもの」との定義に立てば、確かにウイルスは生物だと言える。私の考えでは、生物とは絶え間なく分子の入れ替わりやエネルギーの入れ替わりのある「動的な状態」を持つものである。この視点に立てば、栄養を摂取することもなければ、呼吸もなく、一切の代謝を行なわないウイルスは無生物である。

もう一つ、ウイルスが無生物だと言える根拠は、ウイルスは、元をたどると、我々高等生物のDNAの一部が外に飛び出していったものなのである。
生物が細胞分裂する際、DNAも正確に2倍量コピーされて分かれるが、そこでは常に少しずつのDNA断片をつくり、つなげていくという作業が行なわれている。その過程は不安定で、DNAの一部がくるっとまとまって、どこかにひゅるひゅると行ってしまうことは、よくあることだ。その場合、DNAの一部は、体液に紛れ込み、唾液や呼気、尿、糞などとともに排泄されていく。
こうして、さまよえる遺伝子となったウイルスは常に我々の元に戻りたがる。再び生物の体に組み込まれれば、増えることができるからだ。

もちろん、大半の遺伝子断片は戻れないまま壊れていく。しかし、ごくまれに新しい宿主に移って断片が保たれたり、増殖できる状態にたどりつくケースがある。そして、さらにそこを飛び出して、別の宿主の元で増殖する。つまり、複製可能な遺伝子断片をウイルスと見ることができる。

細菌は殺すことができるが、ウイルスは生物ではないので殺すことはできない。ウイルスが我々自身の一部である以上、我々はウイルスとなんとか共存していくしか道はないのである。

・・・それにしても、DNAとは不思議なものよ、とあらためて思う。

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