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2007年7月 5日 (木)

M&Aは「農耕型」で

経営者として数多くのM&Aを手がけてきた、日本電産の永守重信社長。本日付日経金融新聞のインタビュー記事からメモ。

(スティール・パートナーズなどのM&Aの手法とはどう違うのか)
「資本の論理で押してくる彼らのやり方は狩猟民族的だ。私のは農耕民族型。時機が来るまでじっくり待ち、買ってからもいきなり人を切ることはしない」
「M&Aは買って終わりではなく、むしろ始まりだ。皆はそこを間違っているように思う。買ってからが大変なんだ」
「業績不振企業の再生といえば人員削減をすぐ口にする人がいるが、それは違う。私の場合、人員削減はせず、経営陣も辞めさせない。その企業の力を使って再建するのだ。人は同じで、意識を変えてもらう」
「赤字企業を買って、従業員に『百億円の赤字を半分にしよう』とか『黒字化しよう』などと現実的な方針を言ってもだめだ。できるかはともかく『今期に最高益にしよう』と言う。以前と全く違う世界に持って行くのが改革だ。お互いに理解し合えるよう、昼は従業員と、夜は管理職と食事をしながら話し合う」

(買収先に、永守社長も出資するのはなぜか)
「必ず株を買い、個人の筆頭株主になる。他の株主の目線を肌で感じるためだ。株価が下がれば、それは痛い。買った株を担保にして銀行から資金を借りている。業績が良くならなければ配当も出来ず、借金も返せなくなる。当然、再建作業も必死になる」
「社内で一番、危機感を持っているのは私だ。オーナー経営者が楽しようと思うようになったら、その会社の将来はない」

(社長のそのやる気はどこから出てくるのか)
「やはり母親の影響が大きい。『苦労が顔に出てはいけない』とか『負けるは恥』とか、経営の根幹を教えてくれた。経営は挫折と判断の繰り返しで、すべて順調にはいかないし行くべきでもない。ただ、それを繰り返してこそ強くなる。大将が強くなければ社員を守ることはできない」

・・・もう10年位前だろうか、一度だけIR説明会で永守社長の話を聞いたのだが、もうハイテンションなキャラクターで声も甲高くて、実に「信長型」のトップだなと納得してしまった覚えがある。この記事を読んでも、会社を買う時機は「家康」のようにじっくり待つのだが、いったん買ってしまえば、後は強烈なリーダーシップで社員の意識変革を図る訳だから、これはもうやっぱり「信長」でしょうという感じ。買収防衛策についての、「必要ない。私より優秀な経営者がいるのならいつでも代わる。企業の価値を上げてくれるのなら喜んで売る」との発言も、強い自負心の裏返しといえる。それにしても、こんなに猛烈で独自な経営者の核を作り上げた母の力はやはり偉大だな。

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