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2007年6月20日 (水)

『近江から日本史を読み直す』

名古屋生活の間に城跡巡りなどをしながら、近江は戦国期の重要地域であることを実感した自分にとって、『近江から日本史を読み直す』(今谷明・著、講談社現代新書)は、とりあえず「書名買い」の本でしょう、という感じ。

古代の継体天皇から始まり、近世の井伊直弼まで、本書を通読すれば近江関連の人物や出来事が、日本の歴史にいかに重要な影響を与えたかが理解できる。なかでも平安時代に最澄が開いた比叡山延暦寺から発する日本仏教の展開は、後々の世まで伝わるこの国の「こころ」を作り出したとも言えるだろう。延暦寺で修行に励んだ法然、栄西、親鸞、道元、日蓮は、いわゆる鎌倉新仏教の開祖になるのだから(・・・叡山は日本仏教「虎の穴」だな)。

そして近江を舞台にした戦国大名の攻防。
街道がいくつも走り、琵琶湖の水運も利用できる近江は、まさしく「交通」の場所である。もとより経済的に豊かな地域である近江は、京都への物資の供給基盤にもなっていただけに、天皇や将軍の力が凋落して京都が荒れ果てた戦国時代においては、近江を支配していたもの、支配しようとするものが歴史の表舞台に立つことになったのも当然と思える。六角氏の観音寺城、浅井氏の小谷城、織田信長の安土城、石田三成の佐和山城という、戦国ファンにはおなじみの、山城の世界では超メジャーな城(著者も「最近は山城がブームだそうである」と記していたりする)が近江には集中しているが、まさに近江を制するものは天下を制する、という状況が出現したこの時期は、日本史の中でも近江の重要性がとりわけ高まった時代だと思われる。

本書の内容は、もともとは新聞連載記事だったものを「通史」の形に整えたということでもあり、全体的な記述の構成が、近江で起きた日本史の出来事を並べてみたという感じになっているのは、少々不満を感じる。新書という形にまとめるのであれば、簡単でいいから総論的なものを書き足して欲しかったと思う。

(で、サイト「講談社BOOK倶楽部」を見たら小冊子「本」6月号の内容として、著者のエッセイあり。これが日本史における近江の位置付け、その果たした役割の簡潔なまとめになっていた。こんな感じの文章が、本書にも収められていたら良かったのにね)

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