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2007年5月21日 (月)

武者陵司VS水野和夫

おお、これはちょっとコーフンする組み合わせ。
今週の「週刊エコノミスト」(5/29号)掲載の「激突対談」(「グローバル化」の意味を問う)で語るのは、武者陵司と水野和夫。いうまでもなく『新帝国主義論』、そして『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』の著者であります。ちょこちょことメモ。

武者:私は、世界を「中枢」「辺境」「未開」に分けて認識していますが、1人当たりの年間の国民所得が4万~5万ドルと非常に高い日米欧の「中枢」が、同数千ドル程度の中国、インドなどの「辺境」が提供する安価な労働力を使い生産活動を行っている。この極端な労働賃金の格差によって、「中枢」に「辺境」の富が吸い上げられるグローバルな構造が今後も続き、世界経済は繁栄を続けると考えます。
水野:各国ごとに固有の経済の仕組みが存在する「国民国家」のレジームが解体され、全世界が資本主義というレジームの下で一つの「帝国」になったという共通認識が、私たちにあると思います。
ただ私は、グローバリゼーションというものを、武者さんとは少し違う捉え方をしていると思います。グローバリゼーションとは、国民国家が解体する過程のことを言い、それによってますます市場の統一化が進むのでしょうが、それから取り残されたところほど、国民としての意識の一体感がなくなっていき、経済にとってもマイナスに働くのではないか。今後は、成長だけでは解決できない問題が増えていくでしょう。

武者:米国経済は持続可能だと思います。米国は今後も景気は拡大し、強いドルは維持されるでしょう。なぜ、ドルの購買力とドル資本の収益性がかくも強いのでしょうか。それは、ドルの過剰供給が、単なる米国一国内の通貨発行の役割にとどまらず、グローバルな成長通貨として機能しているからです。
水野:私はドルは持続可能とは考えていません。06年の米国の所得収支が戦後初めてマイナスになりました。これにより今後、米国のGDP(国内総生産)成長に対し、所得収支のマイナス分が足を引っ張ることになります。
武者:しかし、今の所得収支の赤字は大した額ではありません。現在のドル体制や世界経済の繁栄は、いずれ、たとえば20~30年後に終わるのは確かでしょう。しかし今後10年間の短期で考えると、そのようなリスクが顕在化する余地はかなり小さいと思います。

武者:日本は現在の世界経済の繁栄の「受益者側」です。日本経済も中国から非常に安く物を買っている超過利潤の恩恵を、米国同様に享受しています。
日本の製造業は「オンリーワン」の技術力を持ち、さまざまな最先端分野で日本の製品がなければできないものが多数あります。日本からしか買えないから、商品は、円高になっても外国は高い値段で買わざるを得ない。
一方日本は、中国やインド、韓国、台湾から価格競争をしている商品を安く買い叩けるわけです。つまり製造業の強さは、日本の交易条件を非常に有利にするのです。
水野:儲かっている輸出型産業は国内にお金を落とさず、日本国内の非製造業はより低迷していくと思います。日本全体としては、非製造業の下に引っ張る力の方が大きいと思います。
武者:今の局面では、資産デフレの後遺症があることや、企業の賃上げがスローなことで消費に結びついていないことなど、多くの障害があります。日本経済では今後、内需の拡大によってリスクを取る動きが目立ち始め、投資や消費環境に大きなプラスの変化が起こると思います。

強気な武者さんに対して水野さんは慎重。予想通りの展開ではありましたが、今後の現実の推移はいかに。

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コメント

強気な武者さんが、世界経済の繁栄は、いずれ、たとえば20~30年後に終わるのは確かでしょうって言うぐらいだから。
先がおもいやられます。

投稿: はっしー | 2007年5月22日 (火) 22時08分

ははは。確かに。
とりあえず御自分が生きている間は繁栄が続く、ってことですかね。

投稿: donald | 2007年5月22日 (火) 22時31分

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