『反戦軍事学』を読む
年末のテレビで関口宏の「サンデーモーニング」が、戦争の話を取り上げていたのを見て、『反戦軍事学』(林信吾・著、朝日新書)を購入していたことを思い出し、正月休みにざっと読む。本の中から、憲法改正論議のポイントなどをメモ。
国民が集まって国家を支えているのではなく、人間を超越した「国家」という価値がまずあって、国民はそこに従属する、という観点からしか、軍事を語ることができない、このような軍事学に、もはや用はない。
21世紀の軍隊は「重武装した警察」の方向を目指すべきであり、日本の自衛隊には、その先駆けとなれる可能性がある。したがって、憲法改正論議のポイントも、ここに絞られてくる。国民に軍務を強制しよう、という方向での改正ならば、断固拒否すべきであるが、「侵略戦争に加担しないための憲法改正」であるなら、むしろ前向きに考える価値があるのではないだろうか。
自衛権は自衛権として、はっきり認めた上で、「侵略戦争はしない。海外派兵は行わない」といった文言を憲法に明記し、自衛隊の活動範囲に縛りをかけた方がよいと思う。自衛隊は専守防衛の戦力であるということを、あらためて明確にするのだ。さらに言えば、核兵器を「作らず、持たず、持ち込ませず」という非核三原則を、憲法の条文に取り入れる形で、法制化することが望ましい。侵略戦争は絶対にしない、と明記しつつ、PKOによる国際貢献までを視野に入れて、自衛隊にできることとできないことをはっきりさせる、という視点から、憲法改正を論議すべきではないか。
著者はこのほか、核武装論について、国土が狭く、政治・経済機能が東京に一極集中している日本が、核武装して核保有国に対抗するというのは愚かな選択である、と説き、靖国問題についても、戦死者を神として靖国神社に祀るのは、天皇=現人神という思想と不可分だったのであり、現在の象徴天皇制を国是として認めるならば、日本国政府が靖国神社と公式な関わりを持つべきとする論拠はすべて失われる、と述べる。
少年の頃、産経新聞社の「第二次世界大戦ブックス」の読者だった自分は、「平和を欲するならば戦争を理解せよ」という言葉を記憶する者である。だから、著者の「戦争に反対する人ほど、正しい軍事知識を身につけて欲しい」との言葉にも迷う事なく同意する。
当たり前の話だが、確固たる現実認識を欠くならば理想主義は無益だ。
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