2018年1月15日 (月)

「チェコのトランプ」は日系人

日本生まれの外国人では、ノーベル賞作家カズオ・イシグロが今一番注目の人物なんだろう。じゃあその次はというと、チェコの日系人政治家トミオ・オカムラかも知れない。反EU、反イスラム主義を打ち出すオカムラは、「チェコのトランプ」と呼ばれているそうだ。昨年、日経新聞(11/18付)記事で知り、「こういう人がいるんだ、へぇ~」みたいな感じだったが、小学館の雑誌「サピオ」最新号にもインタビュー記事が掲載されたので、以下にメモする。
 
トミオオカムラ(日本名:岡村富夫)/チェコの第三党「自由と直接民主主義」(SPD)党首。1972年、東京生まれ。5歳でチェコに移住。18歳で日本に渡るも、3年半でチェコに帰国。その後、日本語教室や日本人観光客向けのガイドで成功。2012年に無所属で上院議員選挙に当選。15年にSPD創設。
 
(オカムラ氏の話)
「チェコ人によるチェコ人のための国」。ここに、私の目指す政治がある。われわれ(人口1057万人)は、EU離脱をもっとも強く願う国民だ。
建前上、EUは多様性を求めているが、現実は難民や移民による治安悪化は免れない。さらには、チェコ人から仕事が奪われている。それはおかしい。そんなごく当たり前のことを、私は提言しているに過ぎない。
様々な誤解が広まっているが、SPDが掲げる要の政策が「直接国民投票」だ。国の政策は国民が決める。これこそ、私が理想とする社会であり、チェコ共和国の姿である。国民の85%がEUに不満を抱いてる。これを実現できれば、チェコは、自ずと“チェグジット”(チェコのEU離脱)に向かうだろう。
私には大統領になりたいという野心はない。今はチェコ人のための政策を一歩一歩進めるだけである。
 
・・・経済優先主義により、労働力として移民を受け入れると、国民生活の社会的安全性が損なわれるという不安や反発から、ヨーロッパの「右傾化」現象は強まっているようだ。
島国ニッポンは、移民問題にまともに向き合っているとはいえないが、遠くない将来、人口減少から経済が移民なしには成り立っていかない状況に直面した時、移民との関わりは避けることのできない問題として現れてくるのだろう。そう考えると、ヨーロッパの右傾化問題も他人事とは言えなくなる。

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2018年1月14日 (日)

価格と価値の謎

資本主義社会の中で、日々当たり前のように行われる商品と貨幣の交換。しかし交換が成立する根拠はというと、実はそれほど自明なものではない。NHK-BS1「欲望の資本主義2018」(1月3日放送)、チェコの経済学者トマス・セドラチェクの語る場面では、マルクスの「商品が貨幣になる命がけの跳躍」という言葉が引用されていた。以下にセドラチェクの言葉をメモ。
 
◇価格は分かりやすいが、価値というのは謎だ・・・。そもそも「取り引き」というのは不思議だよね。ペンをあなたに売るとする。当然金額の同意が必要だよね。私が10で売りたいのに、あなたが9しか出さないなら成立しない。価格には正確な同意が必要だ。だがこの時、お互いが商品に見いだす価値には差がないといけない。売り手は、ペンの価値が価格より低くないと売らないよね。一方、買い手にとっては、ペンの価値が価格より高いから買うわけだよね。
 
◇お金によって、価格を比べることができるようになる。それは、順序付けることができるということだ。でも価値は・・・例えばトマトよりリンゴが「どれぐらい」好きかを測ることはできない。リンゴの方がトマトより2倍好き?4倍好き?100倍好き?
価値は主観的、価格は客観的だ。人間は「価値と価格の関係」を理解しようと、ずっともがいてきた。このダイナミクスについて、明快に答えるのは・・・困難だ。
 
◇シュンペーターは言い当てていた。「資本主義は批判を受け入れられる唯一のシステムだ」とね。この世界はどうにか機能している。でもそれがなぜ機能しているのか、実はよく分からない。資本主義はある程度までは機能するが、完璧ではないということに、いつも注意を払うべきだ。
 
・・・マルクスは交換に神秘を発見した。現代資本主義社会では、消費と貨幣の交換という「命がけの跳躍」はもちろん、貨幣と貨幣(通貨同士、貨幣と金融商品など)の交換という「命がけの跳躍」も、常に大量に当たり前のように行われている。その中で我々は儲かった損したと、日々一喜一憂しているわけで、考えてみると不思議だな。

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2018年1月13日 (土)

ポピュリズムは「反グローバル化」

NHK-BS1「欲望の資本主義2018」(1月3日放送)、チェコの経済学者トマス・セドラチェクとドイツの哲学者マルクス・ガブリエルの対話の場面から以下にメモ。
 
ガブリエル:皆がポピュリズムと言うが、それは無意味で的外れな診断だ。これはグローバリゼーションに対する抵抗の一種じゃないかな。グローバリゼーションは基本的に経済プロセスだから、起きていることを経済的に説明しなくてはならない。政治的にではなくね。ドイツの人口の12.6%が排外主義に目覚めて投票を決めたわけではない。そうではなく、むしろ地球のあちこちで不公平を目にするようになったためと考えた方が良い。
 
セドラチェク:この状況を表すうまい言葉が見つからないが、もう人々が「いい人」でいられなくなったのかもしれない。「なぜ私が助けなきゃいけない?」とね。「私のことは助けてくれてないのに」ってね。何というか・・・キリスト教文化の反応は、イスラム教の国々の反応よりも極端に経済的なものだった。イスラム教の国々は実際はるかに多くの数の難民を受け入れている。
 
ガブリエル:悪というものを今一度考えてみる必要がありそうだね。どんな組織もどんなシステムも時間を経て自身を維持するためには、他のシステムを排除しなければならない。外部がないシステムは、内部に「異質なもの」を作り出さなければならない。これが悪のダイナミクスだ。確かにグローバリゼーションは、新たな悪を生み出したのかもしれないね。資本主義は国家というよりも経済的な帝国だが、帝国は内部から悪を作り出すのだ。これが「ナショリズム」などが復活している背景なのだろう。
 
・・・グローバル化の中で強まる「ポピュリズム」「右傾化」「ナショナリズム」とは結局、「反グローバル化」以上の意味は持たないように見える。グローバル経済のもたらす競争や格差の中で、一部の大金持ちを除く大部分の人々から余裕が失われて、誰もが「いい人」でいることは難しくなり、「自国ファースト」「自分ファースト」になっているということか。

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2018年1月 7日 (日)

「関ヶ原」新説、BS番組で特集

6日のBS-TBS番組「諸説あり!」は「関ヶ原の戦いスペシャル」と題して、関ヶ原合戦(慶長5年9月15日)の新説を特集。戦国軍事史の専門家・乃至政彦氏をスタジオに迎えて、一次史料に基づく新研究をリードする白峰旬(別府大学教授)、高橋陽介(東海古城研究会)の両氏がビデオ出演。要点を以下に。
 
(1)主戦場は関ヶ原ではなかった。戦いは2時間で終わった。
関ヶ原の西、地名「山中」が主戦場。午前10時頃戦闘開始、正午には終了。
根拠①《合戦当時の書状》
慶長五年九月十五日付伊達政宗宛徳川家康書状、慶長五年九月十七日付毛利輝元宛吉川広家書状案などに「山中」の記載がある。
根拠②《古戦場の発掘調査》
昭和50年代に「開戦地」付近を調査。陣地などの遺構は見つからなかった。
根拠③《布陣図(「日本戦史」明治26年参謀本部作成)の信憑性は低い》
 
白峰氏は、「島津家家臣史料(神戸五兵衛覚書)」を中心に合戦を再構成している。当日の早朝、西軍の大谷吉継の兵は関ヶ原の最前線に進出していたが、東軍と小早川秀秋軍に挟撃されて全滅。続いて10時頃から山中地区の西軍と、東軍の戦闘が始まる。東軍の猛攻を受けて、西軍は短時間で総崩れとなった。
 
(2)石田三成陣は笹尾山ではなかった。
根拠①《笹尾山である信憑性は低い》
一次史料に記載がない。笹尾山に陣地の遺構は見つからない。
根拠②《東軍武将・生駒利豊の書状(戦況報告)》
戦いの場は「たうげ」(とうげ)との記載。関ヶ原の西に「藤下」(とうげ)の地名がある。
根拠③《東軍武将・戸田氏鉄の回想録》
石田三成は「自害が岡」に布陣したとの記述がある。これは現在の藤下地区にある自害峰という場所であると推定される(壬申の乱で自害した大友皇子の首が埋められた場所だという)。現地に赴いた高橋氏は、陣地の遺構(削平、切岸、土塁、堀切など)を確認。なお高橋氏は、西軍が大垣城から山中・藤下に陣替えした理由は、松尾山の小早川軍を攻撃するためだと主張している。
 
(3)徳川家康陣は桃配山ではなかった。
一次史料に記載された、関ヶ原に進出した東軍勢の中に、徳川軍武将の名前は見当たらない。上記吉川広家書状案には、「南宮山に備えたのは井伊直政・本多忠勝・家康馬廻り」、「東軍の先陣が出陣しその場所に家康が入った」との記述がある。この「家康が入った」場所とは美濃赤坂。西軍の籠もる大垣城の北に位置する。白峰氏によれば、家康の狙いは大垣城攻略だった。一方、大垣城の西にある南宮山には、西軍の毛利勢1万5千が布陣。しかし家康本隊3万の大軍が美濃赤坂に入ると、毛利軍の吉川広家は急遽、東軍と不戦の密約を結んだ。実質的に降参したものと見られる。関ヶ原合戦の前日のことだった。
 
・・・白峰氏と高橋氏の考える合戦の姿に違いはあるものの、いずれにしても従来の通説的ストーリーとは全く異なる姿が提示されている。一次史料中心にどこまで合戦の真の姿に迫れるか、さらなる研究の進展を期待したい。
 
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2018年1月 6日 (土)

パンダの繁殖努力が奏功

上野動物園のパンダ、シャンシャンが大人気。かつては絶滅が心配されていたパンダだが、人工授精など繁殖技術の向上もあり、頭数は世界的に回復しつつあるという。以下に5日付日経新聞記事からメモする。

上野動物園で生まれたパンダは5頭目。日本では、同園に初めてパンダが来日した72年以降、繁殖に取り組んできた。国内で生まれたパンダは、これまで21頭。このうち15頭はアドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)で生まれ、中国国外の飼育施設では世界一の繁殖成績を誇る。
 
パンダの人工的な繁殖が本格的に始まったのは1980年。中国政府が世界自然保護基金(WWF)と協力し、ジャイアントパンダ保護研究センターを設立した。竹の減少や森林の伐採、捕獲などで、70年代には1000頭まで減少。生育域も分断され、絶滅の恐れが出てきたからだ。
 
パンダの繁殖には3つの難しさがある。1つは発情期の短さだ。パンダの恋の季節は3~5月。そのうち発情するのは2~3日しかない。
もう1つの難しさは交配しても妊娠するとは限らないこと。妊娠期間は90~150日間と幅があるうえ、赤ちゃんは小さく妊娠しているかどうか外見からは判断しづらい。
さらに最も難しいのは出産後だ。出産しても、大きくなるまで育てるのが大変だ。誕生時の体重は100~200グラムと小さいが、1歳には約200倍の約30キログラムまで大きくなる。
 
また双子で出産する確率が約5割と高いが、通常、母親は双子のうちどちらか1頭しか育てない。もう1頭は育てないので、個体数の増加につながらないことが多い。
飼育では双子が生まれた場合、片方の赤ちゃんは人間が育てるようになり育成率が向上。現在は生まれた赤ちゃんの80~90%は生存できるようになった。
 
・・・様々な取り組みにより、今では世界に生育するパンダ頭数は1800頭(14年時点)まで増えたそうだ。
ところで、和歌山のパンダのことは正直知らなかったんだけど、上野ばっかりクローズアップされている(ような気がする)のは、どうなのかなと思った。

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2018年1月 3日 (水)

平成30年の初詣は日泰寺

名古屋で迎えた平成30年のお正月。近年自分は初詣スルーが続いていたけど、環境が変わったせいなのか、何となく初詣に行くかという気持ちになり、東山線沿線にある覚王山日泰寺に出かけてみた。
午前中に行ったら、参拝客は少ない。たくさん人がいるのも疲れを覚えるが、あんまり人がいないのも初詣の雰囲気としては物足りないものだなと思った。

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日泰寺は明治37年(1904)建立の、歴史的には新しいお寺。何でも宗派を超えた仏教寺院とのこと。タイ国から寄贈された仏舎利を境内に収めており、日本とタイから名前は日泰寺。また覚王とは、お釈迦様のことだそうです。

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2017年12月31日 (日)

存在感高まる「中世都市」

29日付日経新聞の「私見卓見」コラム(グローバル化で復権する中世都市)からメモする。筆者は今年、『ポピュリズムとは何か』(中公新書)が話題になった、水島治郎・千葉大学教授。

ルターが始めた宗教改革はカトリック教会という普遍的な権威を失墜させ、それぞれの領土の中で国家が絶対的な権限を独占する主権国家が主役を張る近代への道を開いた。

2017年は国民国家の礎を築いた宗教改革から500年の節目だったが、逆に国民国家モデルの揺らぎが目に付いた。このモデルの本家といえる欧州では、スペイン・カタルーニャ州の分離独立問題をはじめ、地方による自立の動きが活発だ。10月にはイタリアの北部2州で自治権拡大を求める住民投票が行われ、スコットランドでも独立問題が再燃している。偶然の一致ではない。
注目すべきはいずれも中世以来の有力都市が中心になっている点だ。伊ロンバルディア州はミラノ、ベネト州はベネチアを抱える。近年、分権派が躍進するベルギー北部フランドルも、アントワープなどの自立した都市が欧州広域の経済圏を掌握して発展した。

中世の都市復活の背景にあるのはグローバル化だ。国家が独占管理してきたヒト、モノ、カネが国家の枠を超えて動き始め、さらにインターネットの登場で情報も国境を越えるようになった。国家の枠が緩むことで、押さえこまれてきた都市のアイデンティティーが再び頭をもたげてきたとみるべきだろう。

EUは地域や都市を直接支援するなど、地域分権を推進してきた。地域と超国家体が国家をバイパスして結び付く姿は、教会や皇帝といった普遍的権威が自治都市と併存した中世と重なり、「新しい中世」ともいえる。

・・・コラムは、過去500年の国民国家モデルに捕われることなく、現代社会の変動に向き合う姿勢の大切さを示唆しているが、ルターの宗教改革開始から、ウェストファリア条約締結による主権国家体制確立まで130年間。現在が歴史の転換期であるとしても、新しい社会モデル――「新しい中世」の他にも、ポストモダンやポスト資本主義など呼び名は様々だが――の姿が見えるまでは、まだ相当時間がかかりそうだ。

ところで「中世都市」復権と、ポピュリズム台頭はどう絡むのかと考えてみると、グローバル化に適合する「中世都市」含む大都市VSグローバル化に抵抗する地方という図式になり、ポピュリズム(疑似ナショナリズム)は後者から強く現れているという感じかな。

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2017年12月23日 (土)

メリークリスマスだぞっ

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メリークリスマス!ということで、写真は「名古屋クリスマスマーケット」会場のクリスマスツリー。場所は栄の久屋大通公園、ツリーの後ろに見えるのはテレビ塔です。検索してみたら、東京でも日比谷公園で同様のイベントをやっているのだな。オクトーバーフェストやクリスマスマーケットがイベント化されるなんて、日本は徐々にドイツ化しているのだろうか。んなわけないよな。

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2017年11月25日 (土)

消えゆく半チャンラーメン

もう30年も前、神保町にある小さな出版社に勤めていたことがある。なので、ラーメン屋の「さぶちゃん」閉店のニュースが目に入った時は、感慨めいた思いを抱かざるを得なかった。看板メニューは、ラーメンとチャーハン半分のセット、半チャンラーメン。21日付東洋経済オンライン発信記事(執筆者はラーメンライターの井手隊長)から以下にメモ。
 
東京・神保町で長らく愛されてきた老舗のラーメン店が、ひっそりとその看板を下ろした。「さぶちゃん」。熱心なファンを獲得しており、行列が目立つお店として有名だった。
 
「さぶちゃん」が閉店してしまったのは、「半チャンラーメン」というメニューを提供してきた「町中華」の凋落を象徴しているようでもある。
 
「町中華」は今、店主の高齢化や後継者問題に悩んでいる。
厚生労働省が2011年に発表した「飲食店営業(中華料理店)の実態の経営改善の方策」によれば、個人経営の中華店の店主の年齢は50歳以上で72%。5年以上前のデータなので、今はさらに高齢化が進んでいるだろう。
このうち営業時間が10時間以上の個人店は30.8%。閉店時刻も「21時以降」が73.9%を占め、長時間営業が当たり前となっている。そして、「後継者がいない」と答えたお店は何と全体の62%に上った。
 
店主の高齢化が進み、後継者探しも難しく、長時間労働となると閉店もやむなし。実数を把握できないが、「町中華」は確実に町から減ってきている。おのずと「半チャンラーメン」を出すお店も減ってきているということだ。
 
・・・「町中華」の減少のほか、糖質制限ブームの逆風、調理工程は多いのに価格設定は抑えめ、というのも半チャンラーメン衰退の理由という。
 
日本の中小零細企業が抱える、経営者の高齢化と後継者難という問題から、町中華も逃れることはできない。それが現実だろうとは思う。でも、このまま町中華そして半チャンラーメンが消えていき、町のラーメン屋はチェーン店だけになってしまったら、それも何だか味気ない感じがする。

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2017年11月 4日 (土)

「怖い絵」展大人気の謎

現在、東京・上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展が大人気となっている。10月7日から開館時間10:00~17:00でスタートしたが、早くも一週間後には土9:00~20:00、日9:00~18:00に時間拡大。三週間で来場者数10万人突破。人気上昇も加速し、直近では入場待ち最大3時間という凄まじいことに。来週以降は土曜に加えて、金曜と祝日も9:00~20:00開館で対応する。(12月17日終了予定)

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自分も先日、東京に行く機会があったので、とにかく入場したのだが、なるほど大混雑。まさに絵を見るより人を見るという感じでありました。

この展覧会が気になったのは、たまたま展覧会準備の苦労話を雑誌で読んだ(『芸術新潮』8月号・「怖い絵」展ができるまでの本当にあった怖い話)ことによる。確かに世界のあっちこっちから絵を集めてくるというのは、大変なことだよなあと思う。苦労して開催に漕ぎ着けた展覧会に、これだけたくさんの人が見に来てホントに良かったねと、関係者を讃えたい気持ちにもなる。

とはいえ、「怖い絵」展がこれ程の人気を集めている理由はというと、正直よく分からない。この展覧会のコンセプトの基礎にあるのはもちろん、ドイツ文学者中野京子の人気著作「怖い絵」シリーズなのだが、今回の出展作品約80点のうち、「怖い絵」の本で紹介された西洋名画の実物は10点ほどだという。なので、よく知らない画家や作品も多いし、そもそも「怖い」と言っても直接的視覚的にとても怖いという程でもない。本のコンセプトに基づいて、文化的歴史的背景を理解した上で、じわじわ怖くなるという絵が大半なのである。

まあ、こうしたお勉強的要素のある展覧会にわんさか人が来るのだから、それはそれで大したことだなあと思う。今夜はテレビ番組「美の巨人たち」で、今回の展覧会の目玉である「レディ・ジェーン・グレイの処刑」が紹介されたし、さらにわんさか人が来るんだろうな。

(11/10追記)開館時間は11月16日以降、連日9:00~20:00に!

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